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普天間基地移設問題...2
2009/12/13 14:16:47 書庫 全般
今年8月末...
IVLPで、アメリカ国防総省を訪れた私に、国防総省の担当者(東アジア担当)が、このように言いました。

『(米軍再編において)日本の理解とは別に、日本国内から将来、米空軍・海軍の撤退はあり得るかもしれない。しかし、米海兵隊のヘリ部隊の撤退はあり得ない。』

米国防総省の方が、東アジア・太平洋地域の平和と安定の為に最も重要視する米海兵隊ヘリ部隊とは...

迷走を続ける米海兵隊普天間基地移設問題ですが、そもそも、日米安全保障条約上、米海兵隊の普天間基地とは一体、どういう役割を担っているのか、海兵隊とはどういうものなのか、政府は、国民に対してきちんと説明し理解を得る必要があるのではと思います。

旧日本軍に、海兵隊という組織が存在しなかった為(海兵隊という名称の組織は存在しないが、海兵隊のような役割をする海軍陸戦隊等の部隊はあった)、私達日本人は、海兵隊という存在を理解する事があまり理解できていないと思います。

軍隊は、大きく分けて、陸軍・海軍・空軍の常備軍があり、大雑把に、陸軍は、陸戦、陸上輸送を行い、海軍は海戦、海上輸送、空軍は、空戦、空爆、航空輸送を行います。

海兵隊とは、有事の際に、陸海空軍に先駆け迅速に展開する為に、陸海空軍の機能のうち、即応性の高いそれぞれの機能を有する外征専門部隊です。

海兵隊を表す例えとして、次のような表現がありました。
『陸軍が敵に怯えず安全に歩けるよう道を切り開き、空軍が燃料不足で墜落することがないよう着陸できる飛行場を確保し、海軍が漂流しないよう安全な港を確保することが常の任務。』
http://www11.plala.or.jp/Gang-Ho/index2.html

このように、軍の中で、最も即応性が高く、有事の際の全ての状況に対応できるのが海兵隊であり、その発祥は古く、中世ヨーロッパまで遡ります。
帆船が、大砲などを積んでいなかった時代、敵国に歩兵を運ぶために、海軍が船で海を渡りますが、その際の、海上での軍艦同士の戦いは、軍艦同士を接舷させて敵の船に乗り込んでの戦いでした。その後、大砲を積んでの戦いになると、海軍は、輸送任務以外に接舷戦闘や上陸戦闘を行う部隊として、組織した部隊が海兵隊の始まりとされており、アメリカ軍以外の軍隊の海兵隊は、海軍の隷下に置かれています。

昨年末、私が乗船した、アメリカ海軍第7艦隊所属の強襲揚陸艦エセックスは、その機能を最も表す船でしょうね。
http://blog.ishigaki.fm/toita/132101-msg.html

アメリカ軍の海兵隊は、他国の海兵隊と違い、唯一独立した軍事組織であり、アメリカ陸海空軍に並ぶ4番目の規模で、アメリカ軍が他国で展開する軍事力専門部隊といってもいいでしょう。

海兵隊は、大きく3つの遠征軍に分かれており、日本には、第3海兵遠征軍が、唯一米国本土以外に沖縄県と山口県岩国に駐屯していますが、その多くは沖縄に駐屯しており、沖縄の米軍基地で、最も規模が大きいのも海兵隊基地です。

では、何故、沖縄にこれだけの規模の海兵隊基地があるのか...
在日米海兵隊のホームページには、このように書かれています。

地理的重要性は沖縄の位置にあります。太平洋における戦略中心地とシーレーン(海上交通路)に近接しております。西太平洋における我々の存在は同盟国や友好国への公約を果たし、地域の繁栄を保障し、米国と地域の国々との作戦上の良好な関係を得、友好国軍隊との共同訓練の向上を計り、そして有事の際の迅速な部隊展開が提供可能となります。戦術的重要性は沖縄の位置にあります。太平洋における戦略中心地とシーレーン(海上交通路)に近接しております。この地域では過去に、領土紛争をめぐって緊張感が高まり、紛争直前まで発展した例が数多くあります...』
在日米海兵隊ホームページ
http://www.kanji.okinawa.usmc.mil/Index.html

このように、在日米海兵隊は、日本の防衛の為だけに存在しているわけではなく、アジア太平洋地域の民主国家・同盟国の自由と独立を守り、地域の安定の為に存在しています。

アメリカ軍の中で、最も即応性が高く、迅速に部隊を展開できる力を有する海兵隊が、沖縄を前進基地として、佐世保のアメリカ海軍第7艦隊揚陸艦部隊と、この地域の安定を脅かす勢力に対して常に睨みを利かしており、その存在自体が一種の強大な抑止力と考えてもいいでしょう。

米軍再編は、ブッシュ政権時代に始まった、世界中に展開している米軍を現代の脅威に対して変革させる再編であり、その一環として、在日米軍再編がありますが、沖縄の普天間基地の移設計画は、この在日米軍再編計画以前に、沖縄の米軍基地の負担軽減を図る目的で、日米安全保障協議委員会(2プラス2)が設置したSACO(沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会)の最終報告により、1996年に決定したものですが、それに在日米軍再編計画が関わってきます。

在日米軍再建計画では、沖縄の海兵隊基地について、2014年までに、普天間基地を名護市辺野古のキャンプシュワブ沿岸に代替基地を建設し、現在駐屯している第3海兵遠征軍司令部、第3海兵師団司令部、第3海兵役務支援群司令部、第1海兵航空団司令部、第12海兵連隊司令部等約8,000人及びその家族をグアムに移転させる計画となっており、パッケージとして補給基地であるキャンプキンザー等の嘉手納空軍基地以南の返還が行われます。

これは、沖縄に駐屯する大部分の、緊急即応性の高い米海兵隊の歩兵部隊、補給部隊、司令部をグアムに移転する代わりに、有事の際に、緊急展開が図れるように、ヘリ部隊は、日本に残すというものです。
在日米軍再編計画と普天間基地の移設問題は、米軍のアジア太平洋地域における軍事力の展開に大きく関わっており、それを念頭に考えると、冒頭の『海兵隊のヘリ部隊の撤退はあり得ない』というコメントが理解できると思います。

現在の普天間基地移設問題に関わる報道を見ていると、この広範囲な安全保障体制の大枠の議論が等閑にされ、木を見て森を語る的な議論になっているのでは...そして、海兵隊の県外・国外移転という議論の両輪で、海兵隊を撤退させた後の安全保障政策をどうすべきかという議論が全く行われていない事が疑問に思います。

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